テレワークで運動不足は危険!肩コリや体重増加だけじゃない筋力低下のリスクとは!?

基礎知識

テレワークで運動不足は危険!肩コリや体重増加だけじゃない筋力低下のリスクとは⁉

 

新型コロナウィルス感染症の影響でテレワークを導入する企業が増えました。自宅で仕事をするようになり、通勤の必要がなくなると時間の使い方も変わりライフスタイルが大きく変化した人が増えているようです。自由な時間は一見メリットがありますが、実はデメリットも同じくらいあります。自分で管理をする時間が多くなると生活習慣が乱れやすく、外出が減ることで運動不足に陥る人は少なくありません。日常で自然に行っていた運動が不足することは思った以上に深刻です。
以前よりも慢性的に運動不足になると、肩コリや腰痛、体重増加などの不調をまねきやすくなります。
また、筋力も低下しやすくなり、身体が弱るため、病気の要因になる可能性もあるのです。
今回の記事では、運動不足が原因になる心身への影響や、運動不足の解消法、筋力の低下を防ぐポイントをハーモニー仙川中央整骨院の喜屋武幸人院長に解説していただきました。

記事協力(敬称略) 
ハーモニー仙川中央整骨院
院長 喜屋武幸人

【所有資格】
柔道整復師

「オフィス通勤」と「テレワーク」の活動量の違いはどのくらい?

通勤と在宅勤務の歩数など、生活活動量を比較すると、テレワークの運動量が大幅に減少するというデータがあります。筑波大学大学院と健康機器メーカーの「タニタ」による調査結果では、オフィス通勤で平均1日1万1,500歩くらいの歩数が、在宅勤務では1日の歩数がおよそ30%減ったという報告があります。

テレワークで1日の歩数30%減少 運動不足による健康影響懸念/NHKニュース引用
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200416/k10012389771000.html

オフィス通勤の場合は、自宅から駅、駅から会社への移動はもちろん、オフィス内での移動、ランチで外出するなど意外と歩いているものです。一方、在宅勤務で歩くのはトイレやリビングくらいで、基本的な移動範囲は家の中になります。オフィス通勤と比べると大幅に歩数が減るのが現状です。

 運動不足で筋肉量が減るとどうなるの?

人間の筋肉は日常生活の活動や運動が少なくなると徐々に衰えていきます。
たとえば、1週間ベッドで安静に過ごすと約15%の筋力が低下し、3週間に及べば筋力は50%近く落ちるといわれているのです。テレワークで歩くことが少なくなると、特に下半身の筋力が低下するため血液の循環が滞って身体が冷えてきます。

下半身の冷えは、頭痛や肩コリなど、上半身や頭部にも影響する可能性があり、さまざまな不調の原因になることがあるのです。女性は男性に比べて筋肉量が少ないため、運動不足の影響がよりダイレクトに実感する人が少なくありません。

さらに、加齢による女性ホルモンの低下は自律神経機能を障害しやすく、運動不足によってホルモン分泌がさらに低下すると、身体の不調をもたらすリスクを高めることになり特に注意が必要です。

運動不足で太ると?

テレワークで歩くことが少なくなって運動不足になると1日の消費カロリーも減ります。ところが食事の量はこれまで通りか、自由な時間に間食が増えて、結果、摂取カロリーをオーバーする人が多くなっているようです。

こうした生活を続ければ肥満や内臓脂肪の蓄積で、メタボリックシンドローム発症のリスクが高くなります。そこで知っておきたいのは、健康を保つためにどのくらいの運動をすればいいのかということです。

世界保健機関(WHO)の運動ガイドラインでは、成人は少し早めに歩くことを意識したウォーキングなど、中強度の運動を1日30分、週に5日以上行うことを推奨しています。​​WHOは2025年までに世界で運動不足の人を10%減らすことを目標にしていますが、2016年にWHOが出した研究結果で日本の成人35.5%(男性 33.8%、女性 37.0%)が目標を達成することが難しいと分析されています。これは日本の成人の3人に1人が運動不足だと示す数値ですが、コロナ禍でライフスタイルの大きな変化が起こった今、さらに問題が深刻化している人もいるのではないでしょうか。

厚生労働省が提示する肥満改善の目標歩数は、男性9,200歩、女性8,300歩です。テレワークで仕事をする場合は特に目標の歩数に届きづらく消費カロリーが減少の傾向にあります。毎日の生活で歩くことが少なくなったと感じている人は、肥満による生活習慣病のリスクが上がるため、早め早めに対処しましょう!

運動不足で筋力低下が続くとどうなるの?

運動不足で筋力が低下し、身体を支える筋力が弱くなると、腰痛や肩こりなどが起こりやすくなります。運動不足が慢性化すれば、血液循環が悪くなって頭痛などの病気症状が出る場合もあります。また、肥満のため生活習慣病のリスクが増加し、深刻な病気の原因になる可能性もあるため注意が必要です。厚生労働省のデータによると、2019年の日本人の死因の第2位は心疾患で、第4位は脳血管疾患でした。いずれも血液循環障害が原因の生活習慣病です。
運動が苦手な人が急に激しい運動をしようとすれば気後れするかもしれませんが、実際にはマイペースで始めるウォーキングや軽めのランニング、ストレッチでも十分に運動不足の解消ができますよ!

テレワークのもう一つの深刻なリスク「心のモヤモヤ」

自宅でのテレワークは、生活にメリハリがなくなり、運動不足も重なることによって自律神経の機能が低下する可能性もあります。気分が落ち込んだりストレスを感じやすくなると心まで弱って、ますます自宅にこもるといった悪循環に陥れば、それは深刻な事です。

また、運動量が減って、逆にデスクワークが増えると身体は運動不足で脳だけ疲労するというアンバランスな状態になり、不眠の原因になることもあります。運動不足は身体の不調や病気だけでなく精神疾患のリスクも高くなるため、意識的に歩き、太陽の日差しを浴びるライフスタイルを意識的に組み立てることがとても大切です。

運動不足が生む筋力低下の負の連鎖

不要不急の外出自粛やテレワークで運動不足が慢性化すると、筋力低下が負のスパイラルを引き起こすかもしれません。

運動不足のデフレスパイラル

運動不足で筋力低下

支える力が弱くなり、姿勢が崩れる

血行不良になる

体内に疲労物質が蓄積しやすくなる

自律神経に悪影響

気分が落ち込む

運動する気力がダウン

さらなる運動不足へ

運動不足がさらなる運動不足を招くデフレスパイラルに入ってしまうと、心身共に不調のリスクが高まるので注意しましょう!

筋肉は衰えやすく復活しやすい!?

2016年に国際医学誌「ジャーナル・オブ・リハビリテーション・メディシン」に、下半身の運動を極端に制限すると、2週間で筋力が低下するという報告があります。この研究では、平均年齢23歳で脚の筋力が28%(筋肉量で485g)減少し、平均年齢68歳の高齢層では23%(筋肉量で250g)減少したと言われています。

また、筋力が低下してから週3〜4回自転車でトレーニングを6週間続けたところ、高齢者が減少した筋力を元に戻すには若年層世代と比べて3倍以上の時間がかかると報告されました。筋力低下の回復期間は年齢によって差があるとわかったわけですが、高齢者でもトレーニングで筋力を回復させることができるということですね。

一方、20代でも運動不足が続けば50代くらいの筋力に低下することがあるため、年齢を問わず日頃から適度に運動をすることが大切でしょう。

テレワークの運動不足を解消するには?

繰り返しになりますが、テレワークは運動不足になりやすく、筋力低下やストレスなど、心への影響が出やすいということでしたね。そのまま放置すると病気のリスクも上がるため、意識的に運動をすることがいちばんです。そこで次に、運動が苦手な人にもおすすめの運動方法や注意点を解説します。

運動不足解消の第一歩は「歩く」こと

これまであまり運動をしなかった人が、急激にランニングや筋肉トレーニングを始めると身体に負担がかかり、長続きしない原因になります。まずは軽い散歩やウォーキングをしましょう。
ウォーキングは約10分歩くと1,000歩くらいになります。20〜30分も歩けばテレワークでの運動不足を補えるくらいの運動量になりますから意外と簡単です。

おすすめの時間帯は午前中で、日差しを浴びることも重要です。日差しを浴びるとセロトニンという脳内ホルモンの分泌が促され、リラックス効果があると言われています。自宅にこもりがちなテレワークは運動と太陽の日差しが不足するためストレスが溜まりやすいという面があるのです。

とはいえ、仕事がある日は朝も忙しく、ウォーキングの時間を取ることが難しい場合もあるでしょう。その場合は、仕事終わりの夕方や夜の時間帯であってもウォーキングをすることをおすすめします。時間をうまく調整して毎日無理なく続けることが大切です。

ただし、急激な運動や硬いアスファルトを長時間走ったりすると筋肉や膝の関節を痛めることがあります。健康を維持するための運動は、身体の様子をみながら徐々にペースを上げていくのがコツです。

また、膝や腰に不安がある人はプールで水中ウォーキングをするのもおすすめです。水の中では浮力で体重が7割くらいに軽減されるため、負担を減らしながら運動をすることができます。その上、水中を歩くだけでも全身運動になるため、効率よく運動不足を解消できるのです。

効果的な筋力アップは下半身から!

ここまで運動不足解消に、特別な器具などが必要のないウォーキングをおすすめしてきました。これまでオフィスに出勤していた人が自然に歩いていた歩数を簡単に補い、下半身をはじめ全身運動にもつながるウォーキングは健康の基本となります。

ところで、一つ覚えておいてほしいのは、効果的に筋力を鍛えるには下半身から鍛えることがとても大切だということです。なぜなら、筋肉は上半身よりも下半身のほうが衰えやすく、1日の歩数が減るとダイレクトに影響を受けるのは下半身だからです。上半身の運動量は、テレワークと出勤勤務でも通常大きな差はありません。

しかし、下半身は意識的に動かさないとその差は歴然でしょう。オフィス内での移動や階段の上り下り、ランチ外出などの歩数がテレワークでは減るため、ふと気づけば1日中座りっぱなしだったという人も多いのではないでしょうか。また、お尻や太もも、ふくらはぎなど下半身の筋肉は、上半身よりも大きな筋肉があり、この大きな筋肉を普段から鍛えると基礎代謝が上がって衰えにくくなります。そこでウォーキングにプラスして、特別な機械なしで行えるスクワットとランジをおすすめします。

下半身の筋力をアップする「スクワット」と「ランジ」

下半身の筋トレにおすすめのスクワットとランジの行い方を解説します。

[スクワット]
脚を肩幅に開き、背中が丸くならない姿勢を保って腰を落とします。1回で10〜20回を3セットを目安に行うと、下半身の筋肉全体に効果を期待できますが、最初は無理をせず、できる回数から始めて徐々に回数を増やしていきましょう。肩幅よりも脚幅を広げて行うと、お尻の筋肉を重点的に刺激することもできます。

スクワットをするときは、膝を突き出すのではなく、できるだけ直角に曲げて膝が爪先よりも前に出ないようにするのがポイントです。膝を突き出すと関節を痛めることがあるので注意しましょう。

[ランジ]
両腕を胸の前でクロスして肩に手をおいて、片方の脚を一歩大きく踏み出します。踏み出した脚の膝を直角に曲下ながら腰を下げましょう。

次に、そのままゆっくりと元に戻します。この動作を左右交互に5〜10回、3セットを目安に行いましょう。こちらも無理なく行える回数から始めてください。また、膝を曲げて腰を落とした体勢で左右に身体を捻ると、ウエスト周りの引き締め効果が期待できます。

さらに筋トレを強化したい場合は、両手にダンベルを持って負荷を強めることもできますが、様子を見ながら少しずつ負荷を強めていくことが安全に行うコツです。

女性におすすめ!足腰を強化する簡単メソッド

スクワットやランジが苦手な人は、立ち姿勢でかかとの上下運動をするとふくらはぎの筋トレになります。壁などに軽く手を添えて、真っ直ぐ立って行いましょう。
ふくらはぎの筋肉には、筋ポンプ作用と呼ばれる働きがあります。ふくらはぎを構成する各筋肉が伸び縮みして下半身の血液を心臓に送り返す作用を促すもので、血行改善が期待できます。

また、椅子に座ったまま行いたい場合は、背中が丸まらないように座って、そのまま膝を宙に真っ直ぐ伸ばすと、太ももの前面の大きな筋肉を鍛えることができます。

スマイルアンドグループではオフィスや自宅で簡単に実施できるセルフケアをYoutubeで紹介していますので、こちらもぜひチェックして下さいね!

スマイルアンドサンキュー株式会社 公式チャンネル
都内17店舗以上の鍼灸・整骨院を展開するスマイルアンドサンキュー株式会社です。 このYoutubeチャンネルでは、 柔道整復師が自宅やオフィスでカンタンにできるセルフケア・ストレッチ方法などを 動画でわかりやすく解説いたします。 ぜひチャンネル登録をお願いいたします! また「CureCareブログ」では痛みや不調の続きを読む

 テレワークが原因の運動不足予防と注意点

テレワークや外出自粛がまだ続きそうな日々、運動不足やストレスを溜めないための予防法と注意点を確認しておきましょう。

 立って行うデスクワークが運動不足の予防になる!?

座ったままの姿勢で長時間仕事をすると筋肉が固まりやすく、腰痛や肩コリの原因になります。そこで、発想を転換してデスクワークを立ってしてみるのはいかがでしょうか。普段座っている時間を何割か立つ時間に切り替えるとある程度の運動不足解消になります。立って行うデスクワークは全身の筋肉を使い、眠気も感じづらいものです。長時間座ることでの腰への負担も軽減できるので偏り疲労の予防にもなるでしょう。

まずは試しに棚などにパソコンを置いてデスクワークをしてみるのがおすすめです。スタンディング・デスクの目安は、肘がキーボードとほぼ直角になる高さで、肩が上がるようだとまだ高過ぎます。立ったり座ったりと高さを調整しながら仕事ができる可動性のスタンディング・デスクが販売されていますから、気になる人は活用するのもいいでしょう。

身体のコリをため込まないために小さな生活習慣のシフトを

座ったままの時間が長くなると筋肉が硬くなり、体調不良の原因になるケースがあります。特にパソコン作業は背中が丸まった姿勢になりやすく、肩コリや腰痛の原因に。また、キーボードやマウスで手首に負担がかかると腱鞘炎を引き起こす場合もあります。

また、筋肉が固まり姿勢が悪くなると自律神経の乱れや、うつ病など精神疾患のリスクも高くなるのです。そのため、30分に一度は一旦、椅子から立ち上がって伸びをしたり、肩や手首を回してほぐすなどストレッチを行いましょう。

座ったままでは気付きづらい股関節周りの硬さなど、下半身のコリをほぐすストレッチは、姿勢の改善や腰痛改善にも効果が期待できます。長時間のデスクワークをする人は、アラームのアプリやタイマーを積極的に活用して身体をほぐす習慣を身につけましょう。

早めに筋肉の緊張や疲労を解消することは不調の予防になりますよ!

セルフケアで改善しない場合は整骨院へ!

仕事に集中していると、ついついストレッチや運動をするのを忘れたり、できなかったりすることがあります。こうした生活習慣の改善が難しく、疲労をため込んでいる人は、早めに整骨院や鍼灸治療院でケアをしたほうが得策となる場合が多々あります。

整骨院や鍼灸治療院では、全身の歪みや関節の可動域不良を整える施術を行うため、セルフケアでは解消出来ない不調の解決を助けてもらえるのです。何回か定期的に治療院に通うとこれまで気付けなかった不調を早めに改善したり、予防できることも少なくはありません。

また、身体の使い方や生活指導も行っているので、テレワークで変化した体調と生活習慣を改善をしたい人にはおすすめです。

重要!運動は身体の痛みや不調を治してからスタート

肩コリや腰痛などが悪化した場合早く治そう慌てて運動をするとさらに悪化する場合があります。身体に強い痛みや違和感などの不調を感じて心配な場合は、整骨院や鍼灸院などに相談しましょう。運動はある程度身体が回復してからです。無理をすると余計な怪我や悪化の元になります。

テレワークによる運動不足のまとめ

テレワークは思った以上に1日の歩数が減少し、長時間のデスクワークによって筋肉が固まり、偏り疲労が溜まりやすいということでした。生活習慣の急激な変化は運動不足や太陽の日差しを浴びる時間が不足することにより、生活習慣病やストレス、精神疾患のリスクが高まるため、意識的な運動と生活習慣の改善が必要です。

この記事で解説した解消方法や注意点を、最後にもう一度おさらいしましょう

  • テレワークは歩くことが少なくなって運動不足を招く
  • 運動不足や日差し不足はストレスや精神疾患の原因になる可能性がある
  • 運動不足は意外に簡単な運動で解消できる
  • 運動は急激に始めず、身体の様子をみながら徐々にペースを上げていく
  • 筋肉は下半身から鍛えることがとても大切!
  • 座ったままの長時間仕事を避けて30分ごとに立ち上がったり、身体を伸ばす習慣を作る
  • デスクワークを長時間行う人は、立ったり座ったりして仕事ができるスタンディング・デスクを活用するといい
  • 体の痛みが強い場合や不調が続いている場合は、セルフケアだけに頼らず、整骨院など医療機関に早めに相談することも大切

テレワークのライフスタイルをより快適に充実させるために生活習慣や身体のメンテナンス習慣をアップデートしましょう!

よくある質問

Q.テレワークを始めてから腰痛が悪化しました。原因はなんでしょうか?

A.身体の筋肉が部分的に固まったのかもしれません。特に股関節周りが硬くなると腰の支えや動きに負担がかかります。
股関節周りを中心に下半身をストレッチでほぐしましょう。

 

Q,運動不足が気になります。手軽に始められる運動はなんですか?

A.特別な器具がいらないウォーキングがおすすめです。ウィーキングは運動だけでなく、日差しを浴びることで脳内ホルモンの分泌が促され、心の健康にもつながります。
外出が難しいときは、スクワットやランジがおすすめです。

 

Qテレワークを始めてから疲れているのになかなか寝付けません。

A,脳ばかりが疲れて身体の疲労は少ない状態になっているようです。
午前中など日が高い時間帯に、軽い運動を行うことで脳と身体を整えましょう。

記事協力(敬称略) 
ハーモニー仙川中央整骨院 
院長 喜屋武幸人

【所有資格】
柔道整復師
記事監修(敬称略)
本城久司
スマイルアンドサンキュー株式会社 統合医療教育研究センター長
京都府立医科大学大学院 泌尿器外科学 客員講師
医学博士(京都府立医大)


 

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