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一般的に身体の不調は、30代~40代くらいから実感する人が増えます。これはちょうど子育てや仕事などで忙しい時期で、そんなとき突然現れるのが肘の痛みです。
もし肘の内側が痛むなら、ゴルフ肘かもしれません。
ゴルフ肘とは、その名の通りスポーツの外傷が原因になることが多いのですが、実は次に多い原因は家事です。また、最近ではスマホの長時間使用やリモートワークの急増もあり、女性のゴルフ肘が増えています。放置すると痛みが長引いたり、ストレスになるため、まずは原因を知って普段から気をつけることが大切です。
この記事ではごうとくじ駅前通り整骨院の本木院長に、ゴルフ肘に関しての、セルフチェックやセルフケアをはじめ、痛みを放置した場合のリスクから医療機関での施術法までを詳しく解説していただきました。
ゴルフ肘とは?
ゴルフ肘は正式には「上腕骨内側上顆炎」(じょうわんこつないそくじょうかえん)と呼ばれ、肘から前腕部をつなぐ筋肉の腱の炎症です。原因はゴルフに限らず、手首や前腕部を酷使する動作で、主に肘の内側が痛みます。症状によっては前腕部の内側も痛み、自然に治ることはほとんどありません。早めの施術と安静が肝心です。
スポーツが原因のゴルフ肘とは?
スポーツ由来では、ゴルフだけでなくテニスや野球など、投げたりスイングする動作が多いものが原因になります。これは手首から肘の内側の筋肉に強い負荷がかかるためです。
パソコンや家事が原因のゴルフ肘とは?
近年はスポーツ以外の原因で、ゴルフ肘が増えています。特にスマホの使い過ぎや、コロナ禍による在宅ワークの影響が大きいようです。たとえば、テーブルと椅子の高さが合わないなど、環境が整わないまま無理な姿勢で行う作業が増えると、手首など腕への負担も増します。
また、環境が整ったとしても、基本的な1日のマウスやキーボード動作が増えたことで、肘の内側に負担がかかって発症する場合もあります。さらに、家事でも布巾をしぼるなど、手首を頻繁に使えば発症のリスクが上がるのです。
ゴルフ肘の症状とメカニズム
指や手首を内側に動かす動作を繰り返すと、肘の内側にある筋肉に負担がかかります。この負担が繰り返しかかると炎症が起こり、痛みが出るのです。これがゴルフ肘のメカニズム。
主な症状は、肘の内側にある出っ張った骨の周囲の痛みです。
ゴルフ肘のセルフチェック・4つのポイント
肘の内側に痛みが出る場合は、ゴルフ肘の可能性大です。以下の4つのポイントで、1つでも当てはまるものがあれば要注意!
- スイング動作をすると肘が痛い
- 投球動作をすると肘が痛い
- 肘の内側の骨を押すと痛い
- 手首を手のひら側に曲げて力を入れると痛い
専門医療機関の検査方法
医療機関がゴルフ肘を確認する場合、肘の内側など痛みがある部分を押して、圧痛を確認することがほとんどです。
もし、肘の内側の骨から、手首あたりに痛みがあればゴルフ肘が疑われます。その後、症状と設備によってはレントゲンやMRなどで画像診断を行うこともあるでしょう。
ゴルフ肘の対処法とは?
強くぶつけたり、少し触っただけでも激痛がある場合は、すぐに専門医療機関を受診しましょう。逆に原因が思い当たらないなら、かかりつけ院整骨院に相談するのがおすすめです。
ゴルフ肘は、そのまま放置して自然に治ることはほとんどありません。もし、一時的に痛みが消えても、筋肉の動きが悪くなっている場合が多く、痛みが再発する可能性が非常に高いのです。
困ったときの応急処置は「RICE」
病院や整骨院が休みで処置を受けられない場合は、RICE処置をおすすめします。
- Rest(安静)とにかく手や腕を休める
- Ice(冷却)患部を冷やす
- Compression(圧迫)患部を圧迫する
- Elevation(挙上)患部を高い位置にする
4つの応急処置法の頭文字を取ったRICEは、安静にした上で患部を氷水や氷のうでアイシングしながら、包帯で軽く圧迫して炎症を抑えます。さらに、炎症の早期改善のため、肘を心臓より高い位置になるように腕を置くことも効果的です。
施術が受けられるのはどこ?
激痛の場合や不安がある場合は整形外科を受診しましょう。そうでない場合は近隣の整骨院や鍼灸院に相談するのがおすすめです。
痛みが続いたときの対処法と注意点
市販の湿布薬などで応急処置を繰り返して痛みを長引かせると、患部が広がって悪化する場合があります。症状が重ければ手術が必要になることもあるため、早めに施術院を受診することをおすすめします。
ゴルフ肘の予防とケア
腕を使うスポーツや長時間のパソコン作業、腕に負担がかかる家事が多い人は、今は痛みがなくても、将来ゴルフ肘を発症する可能性が高くなります。しかし、予防のコツを知っていればあまり心配はいりません。ポイントは、手首から肘の筋肉や腱を適度に動かして、日頃から腕をほぐしておくことです。
ゴルフ肘におすすめのストレッチ
ゴルフ肘には非常に効果的なストレッチがあります。まず、痛いほうの腕を、手のひらを上に向けて前に出し、肘を伸ばしましょう。次に手首を曲げて指先を下に向けます。下に向けた指先を反対の手で手前に引っ張り、痛気持ちいいくらいで15秒伸ばします。一日3セットが目安です。ポイントは一回の数を多くするのではなく、毎日続けることです。
ゴルフ肘と筋トレの注意点
ゴルフ肘は筋肉の使い過ぎが原因で起こるため、強度の高い腕の筋力トレーニングはおすすめできません。筋トレをする場合は、ストレッチを主軸にして、手首を適度に動かすメニューがおすすめです。また、トレーニングや運動は、痛みが治ってから行いましょう。
ゴルフ肘の施術の種類
ゴルフ肘の程度によって「保存療法」か「手術療法」が施術に選ばれます。どちらにしても、まずは安静が第一です。
保存療法の代表的な4つのアプローチ
- 湿布やステロイド注射で、痛みを和らげることを目的とする「薬物療法」
- 痛みの緩和、血流改善、柔軟性の改善を目指す「物理療法」
- 筋肉や腱を動かしやすくして、肘の負担を軽減させる「運動療法」
- テーピングやバンドで圧迫し、肘の負担を軽減させる「装具療法」
[薬物療法]内服薬や湿布の施術
痛みには、湿布や痛みどめ(消炎鎮痛剤)を用います。整形外科で処方してもらうのが理想的です。専門医療機関で特に問題がないと判断され、痛みが軽度の場合は、市販の湿布などを使用するのもいいでしょう。痛みが強い場合は炎症を抑えるため、ステロイド注射が処方されることもあります。
[物理療法]体外衝撃波施術
体外衝撃波とは、もともと結石を破砕するために用いられ、整形外科では除痛を目的に使用されます。高出力の圧力波を患部に当てることで、血流の改善、組織の修復、痛みの軽減が期待できます。ほかにも低周波の電気療法や赤外線の温熱療法、アイシングによる冷却療法、筋肉をほぐして痛みや血流を改善する療法があります。
[運動療法]ストレッチ施術
ゴルフ肘が長く続き、急性期を過ぎている場合は運動療法が有効です。前腕部の屈筋群と呼ばれる筋肉は、ほとんどが肘の内側に付着しています。この筋肉を中心にストレッチで柔らかくほぐすと、肘にかかる負担を軽減することができます。
[装具療法]テーピングやサポーターで施術
装具療法とは、肘の内側に付着して屈筋群にかかった負担をテーピングやサポーターで軽減する療法です。テーピングは筋肉の走行沿いに貼り付けて動きを助け、引っ張る力を軽減します。サポーターやバンドは、筋肉が肘の内側に付着する部分をブロックすることで動きにくくし、負担がかかるポイントをコントロールするのが目的です。
手術療法
ゴルフ肘の手術療法では、関節内部を観察する関節鏡で、痛みの原因となる滑膜切除術が行われます。また、長期に渡って筋肉に不自然な形で骨が引っ張られ、部分的に骨が尖ってしまう骨棘(こつきょく)という症状があり、これが痛みの原因となる場合は、骨棘切除術を行う場合も。
整骨施術
整骨院でのゴルフ肘施術は、肘内側上顆に付着する筋肉のうち、どこが原因で痛むのかを診療するため、問診、触診、圧痛検査、痛みの誘発検査を行います。病院とは違って投薬や服薬、手術はせず、身体全体のバランスを見ながら痛みの原因を追求し、根本的な施術を目指すのが基本です。
患部をゆるめ、痛みを軽減するためのマッサージや、逆に痛みが強い場合は筋肉への負担が少ない鍼灸施術をおすすめして、できるだけ早い痛みの解消を目指します。
ゴルフ肘の施術期間と料金はどのくらい?
施術期間や料金は症状によって異なるため、通院したい整形外科や整骨院など医療機関に問い合わせるのがいちばんです。スマイルアンドサンキュー系列の整骨院では、患者様が安心して来院できるよう、事前のお問い合わせや相談にも対応しています。また、痛みが激しいときの飛び込みもOK。予約なしでもしっかり対応します。困ったときにはお気軽にお問い合せくださいね。
まとめ
肘の内側の骨周辺に痛みが出るゴルフ肘は、スポーツだけでなく、家事やスマホ、パソコンなども原因になります。近年は女性のゴルフ肘が増えており、今は痛みがなくても、普段からストレッチなどの予防を心がけることが大切です。ゴルフ肘は自然に治ることはほとんどありません。そのまま放置したり、自己判断で市販の湿布薬を使ってしのいでいると悪化する場合があります。痛みが慢性化するとストレスだけでなく、手術が必要になる場合があるため、痛みが出たら安静にして、早めに専門の医療機関に相談することが大切です。
よくある質問
Q:ゴルフ肘の施術は整骨院と整形外科のどちらがおすすめですか?
A:整形外科は痛み止めの処方や、重い症状を判断するのに必要な画像診断が行えます。整骨院はマッサージなど、手技の保存療法に特化しているのが特徴です。スマイルアンドサンキューの系列整骨院は整形外科とも提携して、必要な場合は整形外科への紹介も行います。
Q:いくつか通院してみましたが、再発を繰り返しています。もう治らないのでしょうか?
A:治ります。
一時的に良くなっても、再発する理由は、完全に治る前に手や腕を酷使している可能性が考えられます。
施術後の経過は、まず痛みが消えて、その後に損傷していた組織の修復が起こるのです。そのため痛みが消えてすぐに手や腕を酷使すると、筋肉組織の修復途中でまた負担がかかり再発しやすくなります。スマイルアンドサンキューの系列整骨院では、専門知識をもとに治ったかどうかを判断しています。
Q:ゴルフ肘が治りにくくなる原因はなんですか?
A:よくある治りにくくなる原因は以下の3つを参考にしてください。
- ちょっと気になるけどすぐ良くなるから大丈夫と放置
- 湿布しておけば大丈夫。整骨院や整形外科に行くほどでもないと、痛みや熱感があるのに自己判断する
- 一日寝たら痛くなくなったからと放置
ゴルフ肘は、痛くなる→少し良くなる→また少し痛くなる→また少し良くなるといった変化を繰り返す傾向があります。このとき損傷部位では痛みを感じる神経組織が増え、だんだん痛みが消えにくくなるため、早めにしっかり治すことが大切です。
Q:仕事の付き合いや趣味でゴルフやテニスを続けたいのですが、肘に負担をかけるスポーツをしながらゴルフ肘を治せますか?
A:原則として安静にすることが非常に重要です。重症の場合や痛みはじめの時期は特にお休みが必要です。しかしながら付き合いや大会があり、どうしても外せない場合もあるでしょう。スマイルアンドサンキューの系列整骨院では、基本的に安静をおすすめしますが、必要に迫られた場合はテーピングなどで可能な限りサポートをします。
記事協力(敬称略)
ごうとくじ駅前通り整骨院
院長本木聖二
【所有資格】
柔道整復師・鍼灸師
記事監修(敬称略)
本城久司
スマイルアンドサンキュー株式会社統合医療教育研究センター長
京都府立医科大学大学院泌尿器外科学客員講師
医学博士(京都府立医大)