はじめに
整骨院に行ってみたいけれど「どんな施術や診療をしてくれるの?」と不安に思われる方も多いのではないでしょうか?また、保険や自費での施術・診療など、複雑そうな仕組みも、足が遠のいてしまう一因かもしれません。今回は整骨院で受けられる施術や診療の他、保険を使った診療と自費での診療の違いについて詳しく説明します。
整骨院で受けられる施術と診療
整骨院で受けられる保険の施術は「怪我の施術」です。ここで言う「怪我」とは、外傷性の打撲・捻挫・および挫傷(肉離れなど)・骨折・脱臼であり、「怪我の施術」には以下のような施術があります。
- 肉離れをした筋肉や,傷めた靭帯の固定を行います。
- 痛みを緩和する目的で低周波(3~50㎐)の弱い周波数の電気施術を行います。
- 急性期の痛み、傷めてすぐの組織は炎症を起こして熱を持つのでアイシングを行います。
- 痛めた組織は治る過程で組織が硬くなるので、温熱療法で組織に柔軟性を出していきます。
- 硬くなった組織のリハビリを目的としたマッサージを行います。
整骨院の保険外の施術は痛みを取ることを目的とした施術以外にも、筋力強化や自律神経の調整などの様々な施術があります。
- 姿勢矯正は猫背やストレスネックといった姿勢の不良を矯正することで、肩こりや頭痛など慢性症状の改善が期待できます。
- 産後の骨盤矯正や腰痛、股関節痛、膝痛を引き起こす骨盤の歪みを矯正することができます。
- 高電圧を用いた電気施術があります。神経の促通効果、痛みの抑制、筋力へのストレッチ効果があり、急性のぎっくり腰、寝違え、捻挫、肉離れ、神経痛に効果があります。
- 普段は鍛えることができないといわれているインナーマッスルだけを狙ったEMSトレーニングができます。ダイエットをしている方や痛みを繰り返してしまう方に効果があります。
- 背骨(脊椎)に特殊な周波数の電気を流して、自律神経の調整が出来ます。不眠症。ストレス、うつ病、パニック障害に効果があります。
保険を使った診療とは
整骨院で保険が使える条件は、急性または亜急性(同じ箇所に負担が頻回にかかること)の外傷性の打撲、捻挫、肉離れに対する施術、または骨折、脱臼の応急処置に限られます。ご自身の症状に保険が使えるかどうかは、整骨院までお気軽にお問い合わせください。
保険を使うメリットとデメリット
メリットは、健康保険組合が7割負担してくれるので、金銭的な負担が3割で済みます。デメリットは、保険でできる範囲は最低限の施術ということです。損傷の程度や期間によっては、痛みや辛さが回復するまでに満足な施術を受けられない可能性があります。結果として症状が長引いてしまうこともあります。
保険を使う際に気を付けたいことやルール
整骨院では受領委任払い制度によって健康保険を使用することができます。これは、患者様(受療者)が柔道整復師に委任をし、患者本人に代わって施術費(医療費ではなく、療養費)を保険組合に請求して支払いを受ける制度です。そのため、整骨院で保険を使用する際は、患者様から同意を得た証として署名を頂くことで、保険が使用できます。
自費での診療とは?
自費診療のメリットとデメリット
メリットは、保険外の診療を受けることができるので、より効果が高く、より短期間での改善が期待できることです。さらに、痛みの緩和だけでなく、予防やメンテナンスなどで健康状態を維持することができます。
デメリットは、保険のみの診療と比べると1回の施術費が高くなるケースがあることです。しかしながら、早期回復が見込めるので、結果として総額負担は保険診療と比べて大差ないこともあります。
自費診療の際に気を付けることやルール
国家資格を有する柔道整復師が行うので、安心・安全な施術を受けることが出来ます。一方、民間資格である整体師が行う施術は、保険が適用されず自費施術のみであり、共通した教育体制も整っていません。整体施術を受けられる際は、しっかりとした選択眼による慎重な施術院選びが重要であると思います。
まとめ
整骨院は国家資格を有するスペシャリストが身体の怪我や痛みの処置をする場です。保険・保険外の施術が受けられます。スポーツでの肉離れや捻挫、ぎっくり腰や寝違えといった怪我から神経痛、五十肩・四十肩、変形性膝関節症、ヘルニア、頚椎症といった治りにくい身体の辛さにも対応しています。整形外科でレントゲンを撮影しても原因が分からない痛みや、長年続いている身体の不調といったことなども改善が期待できます。まずはご自身の症状が整骨院で改善するのかどうか、お気軽に相談いただければと思います。
記事協力(敬称略)
スマイルアンドサンキュー株式会社
グループ院事業部 副部長
柔道整復師 渡邊 大地
記事監修(敬称略)
本城久司
スマイルアンドサンキュー株式会社 統合医療教育研究センター長
京都府立医科大学大学院 泌尿器外科学 客員講師
医学博士(京都府立医大)